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専属専任、専任媒介契約は家主に不利なの?

こんにちは。大阪の不動産営業です。

賃貸でも売買でも不動産取引につきものといえば、媒介契約ですよね。

特に家主さんや売主さんというのは、どこの不動産屋に任せるのか。という所で一般、専任、専属専任契約という言葉をよく耳にするのではないでしょうか?

ここでは、その媒介契約に関して、営業の本質部分を書きたいと思います。

専任契約、一般契約

この辺の言葉は既に知っている方も多いと思うのでさらっと書きます。

一般媒介契約

一般媒介契約とは、媒介契約の一種で、依頼者(売主貸主)が複数の宅建業者に重複して依頼できる媒介契約をいいます。
依頼者は、1業者に限定することなく媒介を依頼でき、また、自ら取引相手(顧客)を探して売買や賃貸借契約を結ぶこともできます。この契約には、当初依頼した業者に対して、重複して依頼した他の業者に関して、明示する義務があるもの(明示型)と、明示する義務のないもの(非明示型)とがあります。
依頼を受けた業者にとっては、他の業者に対して独占的にその取引の媒介業務を行うことはできませんが、業者間で物件情報を共有することで、物件を探している顧客に対しては、幅広い情報の中から紹介できるというメリットがあります。

専任媒介契約

専任媒介契約とは、媒介契約の一種で、依頼者(売主貸主)が他の宅建業者に重複して依頼できない媒介契約をいいます。
ただし、依頼者は自分で取引相手(顧客)を探して取引することは可能です。
依頼を受けた業者にとっては、依頼者が自ら取引相手を見つけてしまう可能性はありますが、一般媒介契約の場合と異なり、他の業者に取引を横取りされる可能性はありません。そのため、営業努力が無駄になる確率は低く、それでけ積極的な努力が期待できます。専任媒介契約を結んだ宅建業者は、指定流通機構への物件登録を媒介契約締結日から7日以内に行い、登録済み証を依頼者に渡さなければなりません。また、業務処理の状況の報告を2週間に1回以上行う必要があります。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約とは、媒介契約の一種で、依頼者(売主貸主)が、他の宅建業者に重複して依頼することができないと同時に、依頼した宅建業者が紹介する相手(顧客)以外の人とは取引できない媒介契約をいいます。いわば、依頼した業者に全面的に任せるものです。
依頼を受けた業者にとっては、他の業者による横取りの心配がなく、依頼者が自分で取引相手を見つけてしまう可能性もないので、努力が無駄になることはなくなります。それだけ積極的な努力が期待できます。専属専任媒介契約を結んだ宅建業者は、指定流通機構への物件登録を、媒介契約締結の日から5日以内に行い、業務処理状況の報告も、1週間に1回以上行わなければなりません。他の媒介契約に比べて、より丁寧な業務が要求されています。

以上ホームズのホームページより抜粋。

早い話が、一般媒介契約は誰とでも取引できる状態であり、専任媒介契約は取引は契約を結んだ相手方(不動産屋)としかできません。という事になります。

売却依頼をどこにだせばいいのか?

あなたが不動産を所有しているとして、売却をしたいとします。3000万で売却出来る物件という事であれば、約100万ほどの手数料がかかることになります。(業法上、売買価格3%+6万円+税が上限)

自分で相場通りに売れる相手を見つけられれば一番いいのですが、なかなかそうもいきませんね。なので不動産屋に売却依頼を出すわけです。

大手のA不動産、駅前にあるのB不動産、老舗感のあるC不動産、どこに頼もうか迷いますよね。

各社に回って色々と話を聞きます。

大手のA不動産は 自社の情報網で買いたいという顧客を沢山かかえてるのですぐに売却のマッチングできますよ。なので専任契約をお願いしますといいます。

駅前にあるB不動産屋は ネット広告の掲載、現地の清掃や見回りなど、こまめに動けるのが強みです。ぜひ、専任契約でお願いします。といいます。

老舗感のあるC不動産は 自社の情報網もそんなに多くないし、ネットの掲載も契約してないのでできません。ですが、依頼して貰えれば、レインズの登録はします。一般媒介でもいいですよ。

 

という3社3様の回答になったとします。

どこに依頼しますか、、?

やはり、自社のアピールポイントを積極的に打ち出してきた、A不動産B不動産に専任契約で売却依頼を出した方がよさそうですよね。

専任契約なので、どちらか一方としか契約できません。あとは営業マンとの相性もあるでしょう。

 

ですが、不動産営業マンからすると個人的なおすすめはC不動産屋との一般媒介契約です。もちろん、不動産屋として業務を遂行するという意味で言えば専任媒介契約を取ってこいと言われます。

これは専任媒介契約を結ぶことによって実質3ヵ月(延長可)は独占で販売させてもらえる権利を得たという事なんです。販売が成功すれば、100万円の報酬、自社でお客さんが見つけられればさらに買主側の仲介手数料が100万という事で合計200万の仕事になります。しかも自社と専任媒介という事は基本的に3か月は邪魔が入らず、価格競争にもなりませんし、他業者からの中抜きという事も起こりにくい状況なのです。

※中抜き…最初に紹介、案内してもらった不動産屋とは別の不動産屋から手数料などのサービスを受けて契約を申し入れる事

専任を任された不動産屋が物件を囲い込む

専任を任された不動産屋は一生懸命、買い手探しを頑張るでしょう。売り上げが倍になる可能性がある訳です。まして200万の契約であれば、月に一つあれば、その月はもうほかの仕事しなくてもいいレベルなんですから。

 

ですが、そういった売り上げ重視の営業になるために、よくないことも起こります。

それは、物件の囲い込みを行う事です。

自社で買い手のお客さんを見つけたいがために、他の業者の物件情報を出さなくなることがあります。

いろんな会社の方針もあるみたいですが、当初一か月は他に出さない。という感じで決めている所もあるようです。

上記homesの用語解説でも書いてありますが、不動産会社は物件を預かった時にレインズというネットで管理されている不動産流通システムに掲載しなければならないと業法で決まっています。レインズに登録されることによって、他の不動産業者と情報の共有を図り、流通をスムーズに行うという目的があります。

レインズに登録していれば、他の業者に買い手探しをお願いする事も出来ますし、遠方からの案内なども入りやすくなります。

逆にレインズの登録をしない。という事はほかの業者はその情報を得る術がない為、その物件を買おうと思えば、その不動産屋に問い合わせをするしかなくなる訳です。

上記で書いたような A不動産B不動産は専任で物件を預かると、まずは自社のホームページ、suumo、homesなどのポータルサイトに掲載をして集客することになると思われます。

レインズに登録するかどうかは分かりませんが、登録だけしておいて、実際に電話が入ると「商談中です」という事で客付けを断ったりすることもあります。

※レインズは登録すると証明書が発行される為、証明書の発行をする為だけに登録して→商談中という流れにしている事もあります。

これは、不動産屋的な売り上げという意味では割とどこもやっている営業手法かもしれませんが、売り手からすると、時間のロス以外の何者でもないのです。

専任の方が客付けを頑張ってくれそう?

これは不動産の営業がよくするトークかと思いますが、「専任契約だったら会社の方針でネットの掲載や、チラシの作成ができます」と早く買い手が見つかりそうなトークをしてきます。「一般契約だったら、そういった経費を使えないので専任契約でお願いします。」という流れにしたい訳ですね。

 

ですが、よく考えて貰うとわかるのですが、買い手を見つけるのは、そこの不動産屋でなくてもいい訳です。売主的には適正価格で早く売れてほしい訳ですから、その最短の方法を目指してくれる不動産屋がいい不動産屋、という事になります。

上記に書いた通り、自社での販売には力を入れてくれるでしょう。なんていったって売り上げが倍になる訳ですから。ですが、早く売れるか、という問題とは別問題です。

レインズを利用しないとなると、何百社とある(大阪の場合)不動産屋の力は借りない訳です。もちろん、専任でもちゃんとレインズなど流通情報に登録してくれる業者もあるとは思います。

売主が不動産を3000万で売却依頼を出して、同じような物件を買いたい人がどこかにいるとしても、その専任の不動産屋が直に出している情報を見ない限りはマッチングしない訳です。もしくは、本当は3000万で買ってくれる人がどこかにいるとしても、専任の不動産屋が見つけてきた2900万の値交渉をしてくる買い手に販売することになるかもしれません。

一般媒介契約は頑張ってくれない?

では、一般媒介契約の場合はどうでしょうか?

一般媒介の場合は、物件の囲い込みが無意味になります。なので、一般媒介の場合はほとんどの場合ですぐにレインズの登録をすることになるでしょう。自社から売れれば100万円、他社から売れれば0円という状況です。

(たまに一般媒介を5社6社の不動産屋としている方もいますが、これは無意味です。レインズに同じ情報が出まくってどこに問い合わせしたらいいか迷います。笑)

なので、一般媒介を受けたは業者しっかりと情報を出す必要があります。もちろん、自社でも買い手を探すのが前提ですが、レインズなどのネットワークを使って自社から売れるように努力する訳です。

このブログの最初に話をした、C不動産のケースで話をしてみます。

C不動産はポータルサイトを契約していないので、suumoやhomesなどのサイトの登録は出来ません。自社のホームページも有りません。チラシを巻く手間もかけません。

ただ、物件資料をつくってレインズの登録だけはちゃんとして、電話の受付も「募集中です」という事で対応します。

レインズに登録して情報をすべての不動産屋に公開する事で客付け作業のほとんどが完了したと思っていいでしょう。あとは、相場通りの価格設定が出来ていて、物件自体に問題がなければ、そのうち買い手は見つかります。

これで十分です。売り手側の不動産屋の客付けはこれ以上でもこれ以下でもありません。

なぜなら、買い手側の不動産屋がすべてやってくれるからです。

 

C不動産屋がレインズ登録をすると

その登録されている情報を各地の不動産屋が見ることになります。買い手側の不動産屋も買い手を見つければ100万の訳ですから、販売活動の種を蒔きたい訳です。

「自社ホームページに掲載していいですか?」

「ポータルサイトのネット掲載はしていいですか?」

「チラシを作成してマンションに投函してもいいですか?」

 

こんな電話がC不動産にかかってきます。

 

という事はすなわち、売却にかかる営業活動というのは業者こそ違えど専任の時と同じ流れになっている訳です。囲い込みをしてない分、スピーディーにかつ入り口を広げた状態でマッチングできる訳ですね。

レインズ登録で客付けは9割完了している??

最適な媒介契約とは

上記の件をまとめると、個人的に最適な媒介契約は

2社と一般媒介契約をする。

とっても信頼できる不動産屋を知っている場合は一社のみで大丈夫ですが、あまり知らない不動産屋の一社だけの任せるのは不安です。

不動産屋の中には一般媒介契約をないがしろにしている業者もいるからです。なので、2社にすることでお互いを競わせる効果もあります。レインズ登録は出来ているのか、ネットへの露出はどのくらいあるのか、など業者間であれば、分かります

 

当社は売却物件を預かる事は年に数回しかないですが、基本的には一般媒介で行っており、完全に信頼関係だけて任せて貰っております。まぁ。。。新規のお客さんが少ないというのもありますが。。笑 心の専任媒介契約という事でしょうかね。。笑

しっかりと情報公開をしてくれる不動産屋を一社だけ見つけられれば、売主として出来る事は9割がた完了しているという事です。

ただ、一般媒介だからと行って、レインズの情報を見た業者が謄本をあげて、直接営業してくるケースも考えられます。気持ちのいい取引の為にも、C不動産を通してくださいね。といえる心構えがある方がいいかと思います。

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岸根

TEIANの代表社員 執筆記事 2000件以上 宅地建物取引士 管理業務主任者 

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