宅建の資格は賃貸営業に活かされる?
宅建という資格は不動産業にとって、なくてはならない資格です。5人に1人は主任者の配置が必要ですし、根本的に言えば一人は専任の主任者が居ないと、開業すらできません。なので、取引主任士の資格があると重宝することは間違いありません。
宅地建物取引士しか出来ない仕事?
このページを見ているような人はある程度ご存知かと思いますが、おさらい、、という意味で。宅地建物取引士の最大の仕事は「重要事項の説明」です。
この「重要事項の説明」というのは、賃貸でも売買でも契約の締結前に不動産業者が借主、もしくは買主に対して行わなければならない契約の説明です。説明項目は細かく書き出すと30項目以上もあるのですが、その内容を説明しなければなりません。この説明は取引士の人以外がすると業法違反ですし、取引士が居ないとなると、不動産仲介を通した契約が根本的締結が出来ない。という事になります。
重要事項の説明以外は従業員でも可
よく勘違いされるのは、不動産業に従事している人はみんな取引士の資格を持っていると思われることがです。決してそうではなく、むしろ資格を持っている人は少ないのが現状です(後述します)
また、重要事項の説明以外の業務は資格がなくても可能なので、物件の紹介、案内などは資格がなくても問題なく出来る訳です。で、契約の締結となった場合に後ろの方からふらっとおばちゃんが出てきて重説だけをするっていうのが不動産屋あるあるです。笑
賃貸営業でも取引士の資格はあった方がいい?
賃貸営業でも資格も持っているという事にこしたことはありません。ですが、資格があるから、契約が取れる。というものでもありません。
また、取引士で勉強する内容は、売買関係の時に必要な内容が多い為賃貸では、そこまで役に立たないのです。
民法
民法は不動産業にかかわらず、生きているうえで重要な法律です。なので、これは勉強しておいて損はない訳です。
契約の成立とはなにか、代理とはなにか、という頭の中では感覚としてわかっていそうな分野ですが、勉強してみると意外と間違っている事も多いのだと感じます。
賃貸営業に生かせるという意味では、後々トラブルにならないように、営業トークが慎重に出来るようになります。どこまで行ったら、契約なのか、今の状態は契約の状態なのか?など考える事が出来るようになります。(はっきりいって、仲介業者この辺すらがわかってない人が多い)
法令上の制限
法令上の制限はほとんどが売買の項目です。かつ、こんなケースめったにないやろ~っていう項目も多いので、点数は取らないといけませんが、実務においてはほとんど必要としません。
ですが、「ここは防火地域なんて、木造建築は耐火にしないといけませんね。」的な謎の営業トークが繰り出せる知識がつきます。
こういったトークはお客さんと話をしているときに、いくつかジャブを打つように繰り出すと信頼感が上がり、遠回しに効果があります。
業法
業法は、不動産業を営むにあたってのルールを学ぶ所です。
重要事項の説明の内容や、違反ルールなどはここにあたります。お客さんに対してというよりは、国に対してなんらかの罰則規定があるルールが多いので、知らなかったでは済まされない項目という訳です。
不動産業界に宅地建物取引士が少ないのはなぜ?
筆者が現場で働いていて思うのでは「宅建持ってる人すくねぇ~、」です。筆者は先述の通り資格持ちなのですが、名刺交換などをしていると、資格持ちの人が意外といない、、という事に気づきます。
業界歴20年でも持っていない人は持ってないですし、毎年試験を受けていても受からない人もいます。大手売買系の不動産会社は(住友とか野村とか)全従業員が資格取得の為に躍起になっているイメージはありますが、街の賃貸屋さんはほとんどそんな事言いません。持ってるんか、、お前すごいな~。という感じです。
筆者なりにこの業界に主任者が少ない理由を3つ考えてみました。
実務とはほど遠い試験内容
不動産業界に長く居れば、試験なんて、簡単にいけそうな気もするんですが、そうでもありません。特に賃貸に関しては実務と試験問題がすさまじく乖離しています。9割がたは聞いたことないような問題になってくる訳です。なので、勉強をしないと確実に受からないと思います。4択なんで、多少の運は必要かと思いますが。
忙しすぎて勉強する暇もない
この業界に入って、勉強して1年目で取ってやらぁーーって人もいると思いますが、、まず無理でしょう。よっぽど暇な不動産屋か勉強時間を業務中に取ってくれるような所であれば別ですが、仕事に入ると勉強する時間が取れない程、業務に追われる可能性が高い為です。
宅建の資格は300時間の勉強が必要と言われていますが、1年間毎日仕事の後に1時間勉強できますか?
なかなか難しいと思います。
賃貸営業できる奴は勉強できない説
これは筆者自身の勝手な憶測ですが、営業でガリガリ行けるタイプの人は、コツコツ勉強してきた人ではないような気もします。なので、不動産営業で目が出る人は、そもそも資格試験に向いてないという可能性があるのです。
毎年30000人の合格者を輩出している宅建試験ですが、通常でいえば、不動産業に従事している人が大半の資格のもちであってもおかしくないくらいの数字です。
ですが、せっかく合格しても、それを不動産業に生かせてない人が多いのも事実です。それは、不動産業の営業という仕事が合わなかったせいもあると思います。
不動産屋に宅建の資格は重宝するのか?
ずばり、重宝しまくります。どこの不動産屋も欲しいです。
どの不動産屋も主任者はいます。でも、その主任者もいつ辞めるかわかりません。主任者が居なくなった場合は2週間以内に変わりの主任者を雇用しないと、営業ができない訳です。
なので、資格を持っているとそういった保険になる訳です。
給料的には資格持ちの人は2-3万程度の手当てがつくので、宅建資格を持っているのならば、お得に不動産営業を出来る訳ですね。
資格の名義貸しは違反ですよ
筆者が業界に入ったころは取引士の名義貸しはよくありました。
専任の取引士となっている当人は事務所におらず、重要事項の説明も資格のない営業マンがしている所なんてざらにありました。
ですが、この名義貸しも最近は取締や罰則、特にお客さんの方が「重説=宅建の資格を提示する」という知識がある人も増えてきて、突っ込まれることも増えてきています。
業法違反ですし、こういった行為はやめましょう。
まとめ